東京地方最低賃金審議会は8月5日、東京労働局長に対し、東京都最低賃金を31円引上げて、時間額1,072円に改正するのが適当であるとの答申を行いました。東京春闘共闘会議と東京地評は、審議の再考を強く求めます。
東京都最低賃金の改正決定にあたり、
審議の再考を強く求める
2022年8月5日
東京春闘共闘会議
代表 荻原 淳
東京最低賃金審議会(以下、東京地賃)が東京労働局長に対して答申した「東京の最低賃金を10月1日から31円引き上げて1072円にする」答申は到底容認できません。東京地賃は私たちのもとに寄せられた、あるいは職場の実態から発せられた大量の声を資料として取り上げて、審議に付された努力には感謝申し上げます。結果的に中央最低賃金審議会(以下、中賃)の目安どおりの31円引き上げにとどまり、答申は評価できるものではありません。
私たちは異議を申し立てるとともに再度審議をしなおし、切実な実態に向き合い、大幅に引き上げること求めます。
強まる最低賃金全国一律1500円を求める声
私たちの加盟組合と組合員個人から出された多くの「意見書」に述べられている生活実態からみれば、一刻も早く時間額1500円に到達すべきであり、今回の答申が大きな第一歩となることが期待されていました。東京労働局長と東京地賃は、英断を下すべきです。少しでも人間らしく生きたいという、ささやかに願う声を無視しても良いのでしょうか。最賃を決定できるのは地賃と労働局長だけであり、その責任は重いものと考えます。
東京春闘共闘会議は、国民春闘や全国の仲間とともに「全国一律1500円」の早期実現めざし、この1年間、各地での繰り返しての宣伝や国会議員要請、時給調査と記者発表、「はたらくフェスタ」の開催など、世論に積極的な働きかけをしてきました。そういう運動が目安審議をめぐっては異例の審議延長に持ち込み、長時間の議論に影響を及ぼし、上げ幅としては過去最大になったものとはなりました。しかし、相次ぐ物価高に到底及ぶものではなく、目標の1500円への接近にも大きな隔たりがあり、極めて不十分な額です。
大幅に最賃を引き上げる世界の流れにも逆行する
近年の非正規雇用の増大によって、最賃でしか賃上げが叶わない多数の勤労者の厳しい生活実態に向き合ったものになっていません。日本の最低賃金は生計費原則に依らず、EU加盟国における一般労働者の平均賃金中央値の6割を下回らないとすることにも遠く及ばず、中央値45%程度の水準にとどまっています。
さらに今般の物価高騰にまったく追い付かないことでは、実質的には賃下げになってしまい、消費不況に拍車をかけてしまうものです。コロナ禍・資材高騰など中小企業の経営環境は悪化しています。最賃の引き上げには、中小企業支援を抜本的に強めることが欠かせません。この間、大幅に最賃を上げてきた諸外国のように、中小企業支援策とセットで政治が決断するべきです。
非正規や若者が夢を持てるような最低賃金の実現を
長い間ずっと最賃ギリギリに張り付いているパート非正規労働者、賃金格差に泣く女性労働者、感染におびえながら長時間過密労働を強いられるエッセンシャルワーカー、理不尽な競争と値引きをされ経費を引いて時間換算すれば最賃割れの請負・フリーランス労働者、勉学の場も制限されてバイトもなくなった学生たち。こういった厳しい環境で働く人たちの現実を審議に反映され、汗を流すものが報われ、若者が夢を持てるように最賃を引き上げるべきです。
私たちの代表や仲間からの意見陳述の場を改めて設定し、切実な訴えに耳を傾けていただき、再考されることを心から求めます。
低賃金、物価高騰で庶民の暮らしは急激に悪化
世界の常識 最低賃金1500円以上の実現のために論議を尽くせ
8月5日、東京地方最低賃金審議会が開催された東京労働局前では東京春闘共闘会議、東京地評に結集する仲間が中央最低賃金審議会の目安を上回る引上げを求めて宣伝行動を実施。
出版労連、文京春闘、都教組、全印総連、自交総連、文京春闘、東京土建、東京医労連、東京地評女性センターの仲間が「世界の常識、時給1500円以上を!」と声をそろえてマイクを握りました。